• 合唱教本

伊東恵司:「合唱エクササイズ 育成編」

JPY: 1,000 yen

数量:
在庫:残りわずか
編・著者名
著:伊東恵司
判型/頁
B5判/32頁
JAN
4962864921913
ISBN
978-4-7609-2191-1
シリーズ
合唱エクササイズ
発売日
2017.03.01
合唱団は、合唱指揮者の存在が大きな影響を持ったり、その人の魅力に惹き付けられて参加するメンバーが存在することが多い。しかし本書では、指揮者の個性やカリスマに依拠せずに、合唱団そのものを育てることを焦点に、練習の進め方や基礎練習の方法、そして合唱団の活動をポジティブにするための要素などを分かりやすく説明している。
また同時に歌い手に自主性がある取り組みやスタンスというものを提言する。団内の指揮者・指導者の目線に立った「アマチュアの音楽集団としてのスタンスの確立と成長」を考える。


はじめに
第1章 声を合わせて歌うとは?
  第1課  合唱は一人ではなく複数以上の取組みである
  第2課  合唱には言葉がある
第2章 合唱団としての目標を立てよう
  第1課  合唱団としての大目標
  第2課  豊かなアプローチ(相応しい選曲ジャンルを研究する)
  第3課  活動計画を立てる
第3章 継続的な基礎練習を
  第1課  声を磨く
  第2課  耳を鍛える
第4章 自発性を引き出す練習をしよう(楽曲練習)
  第1課  意図と狙いを共有するということ
  第2課  楽曲を分析するということ
  第3課  音楽の普遍的要素に着目するということ
第5章 ロジカルシンキング(合唱とは社会性ある取組みだ)
  第1課  合唱団の活動の中で
  第2課  一回の練習の中で
  第3課  演奏会に向けて
  第4課  楽曲における音楽作りの中で
  コラム 計量的練習計画のすすめ
第6章 ポジティブシンキング(合唱とは互いに高め合い励まし合う行為だ)
  第1課  合唱団の活動を巡り
  第2課  一回の練習を巡り
  第3課  演奏会を巡り
  第4課  演奏会での拍手は人を育てる
  第5課  楽しむこととは
おわりに



 グレード:初級
<まえがき>
 
 本書では、珍しい視点として「合唱団の育成」に焦点を当ててみたいと思います。そもそも合唱団とは何なのだろう、どういう性質のものだろう、と考えますと、小学校のクラス合唱から中学高校の部活動、大学のクラブ活動、行政主導の地域コーラスや学校主導のPTA コーラス、オーケストラ付随の活動をする合唱団から有志で集まった合唱団まで、レベルやジャンルも含めてありとあらゆる形態の団体が存在することが分かります。それぞれに違うスタイルを持ち、異なる悩みや課題を抱えていることでしょう。しかしながら、やや共通的に言えることもあるのではないでしょうか?
 例えば、合唱団は多くの場合が「アマチュア活動が前提である」ということもその一つであるでしょう。また、同じ音楽ジャンルのアマチュア活動でも、例えばオーケストラや器楽アンサンブルに比べて、ソルフェージュや読譜等基礎的素養のレベルが違うことが多いのも特徴かと思うのです。分かりやすく言うと、あまり楽譜を読めない人にも合唱は開かれているとも言えますし、逆に言うとそのあたりの訓練も含めて課題となってくるということでもあるのでしょう。あるとき、私は地域の人を集めて「合唱劇」というものに取り組んだことがあります。集まった人たちはある程度、「演劇的なことに興味のある人たち」と「合唱的なことに興味のある人たち」に分かれていたのですが、非常に歴然としていたことがありました。「皆さん集まって」と言うと、必ず「前のほうには演劇的な背景を持った人たちが集い、合唱的な背景を持った人は比較的遠巻きから聞いている」という現象が起こっていました。もちろん比較的ということではありますが、「この役やりたい人」と聞くと、「はいはい!」と真っ先に声が上がるのは推して知るべしというところです。これらのことは、比較的ナイーブな人が多いのが合唱団の特徴であるとも言えます。
 だからこそ合唱には「カリスマ的でエネルギッシュな指導をする」合唱指揮者の存在が大きな影響を持ったり、その合唱指揮者の人柄を含めた魅力に惹き付けられて参加するメンバーが多く存在することも確かです。もちろん、それはそれで素晴らしいことなのですが、私の本書での目的は、指揮者の個性やカリスマに依拠しない合唱団独自の成長スパイラルによって、合唱団そのものを育てることを考えてみたいと言うことでもあります。それは同時に歌い手が合唱を積極的に楽しむということ、歌い手に自主性がある取り組みやスタンスというものを提言するということでもあります。実際、クラス合唱や大学合唱、作りたての一般合唱団のように、指揮者自身も試行錯誤中のメンバーであるということもあるでしょう。先生と呼ばれる指導者が来るまでは、団内で誰かが前に立ち練習をしているという団体も多いでしょう。だからこそ、たくさんの合唱団の基礎力が引き上げられながら運営されることこそが真の合唱界の豊かさにつながるとも思うのです。
伊東恵司

伊東恵司:「合唱エクササイズ 育成編」

JPY: 1,000 yen

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