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トップ > 合唱楽譜 > 混声 > 三宅悠太:「祈る −長田弘の詩とヴォカリーズによる−」

三宅悠太:「祈る −長田弘の詩とヴォカリーズによる−」

価格 : 税込1,540円(本体1,400円)
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作曲:三宅悠太
作詩:長田 弘
A4判/28頁
グレード:中〜上級
演奏時間:約13分
ISBN 978-4-7609-4281-7
2011年9月「創る会」合唱団による委嘱初演(指揮:田中信昭)。 「3.11」を契機に書かれた混声合唱作品(ピアノ伴奏付き)である。前半の「.Choral」では濃淡のあるヴォカリーズによって多様な風景を描き、後半の「.空の下(詩:長田弘)」では、信念ある言葉と生命力のある音楽が、次第に核心に迫っていくよう緻密に構築されている。作曲者にとって記念碑的作品の一つである。
祈る −長田弘の詩とヴォカリーズによる−       (13’00”)
<まえがき>

“ひとは 祈ることができるのだ”

長田弘氏の「空の下」という詩は、こう結ばれている。呼吸をするようにこの詩を何度も声に出して読み、内観し、静かに祈った――。

 2011年3月に起きた未曾有の大震災。東京の自宅にいた私は幸いにも大きな被害を受けることはなかったが、テレビ中継で刻々と映し出されていく光景を目にしながら言葉を失い、ただ祈ることしかできなかった。日々、日常の様々な価値観が揺らぎに揺らぐ。作曲の原動力はいつの間にか消失し、それまでスケッチを続けていた別の詩による作品は温度を持たなくなった。私の中で、音楽はどこか遠いところにあったような気がする。

 そんな中、東京文化会館で行われた東京混声合唱団の演奏会に足を運んだ。節電のために照明が落とされたホール、合唱団員と同数くらいかもしれない僅かな観客、開演前に響く非常時の対応についてのアナウンス。この異様な空気の中、音楽はどんな空間を此処に生みだし、どんな時間が紡がれていくのか。私には全く想像もつかず、現実感の無い妙な心境だった。しかし、そこで聴いた音楽には何とも言えぬ温度が宿り、指揮をされている田中信昭先生の背中からは何か強烈な生命感が感じられ、会場はその空気に包まれ、私の中で言葉にならぬ感動が湧き起こった――。あの忘れ得ぬ演奏会の直前、私は図書館で一遍の詩に出会った。「祈ることしかできない」と思っていた私に音楽とは無縁なところで救いをもたらしてくれた詩であり、一筋の光でもあった。私は呼吸をするようにこの詩を何度も声に出して読み、内観し、静かに祈った。そしてそれが、あの演奏会での感動と結びつき、一つの大きな原動力・源泉となり、作曲を始めることとなった。

 作品は混声合唱とピアノによる編成で、.Choral(ヴォカリーズによる旋律の集合体)/.空の下(詩:長田弘)の二部から構成され、切れ目なく演奏される。詩中に幾度と出てくるフレーズ「独りでいること」に始まり、時々その内向的な世界に回帰しながらも、やがてその先に祈りを見いだしていく大きなベクトルを、音楽で描きたいと思った。全体的な調性感や斉唱の多用については、詩と対峙する中で湧き起こった音楽的希求によるものであるが、それらが強い発言力と生命力を胎み、芯のある世界が立ち上がってくることを願いながら筆を進めた。2011年9月、「創る会」(指揮:田中信昭/ピアノ:中嶋香)により委嘱初演、2012年3月に東京混声合唱団(同指揮者・ピアニスト)により改訂版初演を迎えた。以後、度々再演機会に恵まれ、初演から11年を迎える2022年夏、いよいよ楽譜出版の運びとなった。此度の刊行に際し、合唱団ひぐらしの皆さんには再演のみならず楽譜校正やその他、多くのご尽力をいただいた。この場をお借りして心より御礼申し上げたい。
 
三宅悠太

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